赤米生産クラブの栽培活動
よい米を作るにはまずよい土作りから。
これは現代米も古代米も一緒です。
実は、田んぼの準備は春からでなく、晩秋から始めます。
11月に緑肥としてクリムソンクローバーを田んぼへ植えます。
養分をたっぷり含んだ土つくりのためです。
春本番の頃に、植えていた花ごと田を耕して田んぼを整備します。
(5月上旬の写真)
土を整えたら、苗代(苗床)へ赤米の種をまきます。
苗床とは、苗を育てる土と容器のことをいいます。
種を適度な大きさまで苗床で育てた後、田んぼへ植え替えていきます。
種や苗が小さいときは害虫や病気に弱いため、よい苗床で育てることが丈夫で元気に育てるポイントです。
(4月下旬 苗床準備)
上の写真は機械植えの分、下の写真は手植えの分です。
手植え分は、古代米の田植え体験に使ってもらうものです。
(4月下旬 種まき状況)
下の写真くらいまで苗が育ったら、そろそろ田植えの時期。
気候次第ですが、5月下旬から6月上旬くらいが田植シーズンです。
(この時期の苗の生育状況)
田植えシーズンには、田植えの準備で田んぼの周囲や畦(あぜ)の草刈りを行います。
(5月下旬~6月上旬 田植え前の草刈りの状況)
田んぼの中はトラクターで耕します。
田植え前には代掻(しろかき)と苗取(なえとり)を行います
代掻きは、田起こしが完了した田んぼに水を張って、土をさらに細かく砕き、丁寧に掻き混ぜて、土の表面を平らにする作業です。
土の表面を均して、均平にし、苗がむらなく生育するようにします。
苗取りとは苗代から手植え用に苗を小分けして小さく束ねる作業です。
(6月上旬 田植え前の「代かき」の様子)
これで田植えの準備完了です。
苗も十分育っています。
(6月上旬 田植え前の写真)
翌日の田植えの準備。苗を小分けにしています。
(6月上旬 田植え前日の苗取り)
米の栽培は私たち「赤米生産クラブ」が主体となって行っていますが、社会活動の意味で、子供たちの古代米栽培体験への協力も行っています。
(6月上旬 田植えの様子)
一株3~5本くらい植えます。
全部丸ごと手植えで植えてもらうわけではありません。
植えてもらった苗の点検整備や最後の仕上げは大人の勤め。
(田植え後の補植)
田植えの後は稲の成長を見守ります。
田んぼの畦に草が繁殖すると、害虫が発生しやすくなります。
それを防ぐために草刈りを数回行います。
(7月上旬 田植え後の草刈り)
草刈りはこの後も定期的に月1回程度行います。
夏には、田んぼのお世話の体験会も行われます。
稲の生育の妨げとなる物を駆除していきます。
この写真の時は、田草をとったり、ジャンボタニシを除去したりしました。
(7月上旬 田んぼの中の雑草防止のために「がんつめおし」を行っている様子)
この後も、稲の成長を見守り、草刈りや害虫駆除のお世話をします。
丁寧に育てていても、害虫が発生することもあります。
そういうときには、みんなで知恵を出し合って対策を行います。
農業は奥が深い。
こうやって稲を生長させます。
秋には実がつきます。
赤米には赤い実がつきます。
下の写真は緑米です。
緑米は黒米より実が意外と黒いです。
こうして実った古代米の稲刈り時期が来ます。
上の写真は、稲刈り体験の打ち合わせの様子です。
稲刈り体験会の直前にも草刈りを行います。
稲刈り用の機材や乾燥機の点検も行います。
こうして、稲刈り体験をしてもらう日が来ます。
収穫体験をお手伝いしてくれる地元の高校生も貴重な戦力です。
感謝!
体験会では、古代に行われていたやり方での収穫です。
石包丁で1穂ずつ切収穫してもらいます。
でも、このやり方だけで行うのは大変です。
現代農業も併用して収穫します。
収穫した後は、「脱穀」をおこないます。
乾燥させた稲の穂先から籾を落とす作業です。
脱穀した籾には、稲の葉や藁くずが混ざっています。
風の力を利用して取り除きます。
脱穀した籾は、乾燥させて水分を13%程度にします。
乾燥させた後は「籾摺り」を行います。
籾摺りは籾から籾殻を除去して玄米にする作業です。
(籾摺り作業の様子)
こうして、古代米が完成します。
完成したら、袋に詰めて、道の駅や物産館、直売所で販売します。
緑米の特徴
稲穂は黒に近い緑色に実ります。
見た目は黒いようですが、殻を取ると、中の実は 緑色の美しい玄米です。
古代米は餅米に使割れることが多いのですが、緑米が最も適しています。
普通の餅よりも長く柔らかさを保てるからです。
米の皮の緑色の部分にはクロロフィルという成分が含まれています。
クロロフィルはコレステロール値を抑制してくれます。
他の栄養素ではマグネシウムや亜鉛も含まれています。
ですから、緑米は血液を綺麗にしていくお米といえます。
でも、育てることがとても難しい品種です。
同一面積で栽培する場合、普通の白米(現代米)に比べて量的には半分ほどしか収穫できません。
全国的にみても生産量が少ない貴重な品種です。
販売しているところも少ないそうです。
でも貴重な品種ですから味はいいです。
緑米の玄米部分は柔らかくて白米のように普通に食べることもできます。
緑米玄米にはビタミン・ミネラル分が多く含まれています。
ご飯を炊く際は、白米一合に対して大さじ1杯(15グラム程度)の緑米を入れてください。
ふっくらとした緑米ごはんができます。
古代米栽培体験の様子
古代米の栽培体験は、山鹿市鹿央町岩原地区の田んぼで行っています。
晩秋に植えたクリムソンクローバーの花を使って土の養分をよくした後、草刈りなどの田んぼの整備を行います。
田んぼに水を引いた後にも、トラクターで耕して、田植えの準備完了です。
ノボリもたてて、田植体験準備完了です。
いよいよ本番。
古代米の説明を受けた後、
田植えのやり方を教わります。
学校単位でも、個人でも申し込めます。
熊本だけでなく、福岡や鹿児島の人が体験に来られることもあります。
みんなで作業開始!
古代衣装をつけて田植え体験開始です。
小学生が対象の田植え体験ですが、地元の高校生も応援してくれます。
終わった後は、プロ農家が確認・補正を行います。
夏には田んぼのお世話の体験も出来ます。
田挿車を使って除草体験。
田んぼのスケッチ大会も。
秋には収穫体験ができます。
下の写真は体験会前日に大人が田んぼを整備している様子です。
赤米が鮮やかに実っています。
緑米の実は、なぜか黒米の実より黒いのです。
準備が整い、いよいよ収穫体験の日です。
古代の人たちが行っていたやり方での収穫を体験してもらいます。
難しくないし、説明もちゃんとあるから、すぐ出来ます。
古代人の服装で参加する地元の小学生。
石包丁で1本1本切り取っていきます。
親子で仲良く収穫も。
収穫が終わったら、収穫した実は乾燥させて水分を抜きます。
それから脱穀などを行い、食べられるお米に仕上げます。
こうやって完成した古代米は、道の駅や直売所で売られます。
あっ、もう一つ大切な行事があります。12月には、古代米を使った「餅つき大会」も行っています。
黒米はこんな古代米です
黒米は古代米の一種で、濃い紫色の米です。
赤米の一種とされる場合もあります。
中国では縁起の良い出世米と言われ大切にされてきました。
日本では、おはぎや赤飯のルーツといわれています。
黒米のヌカの部分にポリフェノール類アントシアニンという栄養素が 含まれています。
黒豆やブルーベリーにも含まれている栄養素です。
また、黒米にはビタミン類、鉄分、 カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、ビタミンB群といった 不足しがちな栄養分が含まれています。
抗酸化機能が高いそうです。
黒米も他の古代米同様に、育てるのが難しい品種です。
同じ面積の田で、収穫できるのは現代米の半分程度。
ただ、収量が少ないのですが貯蔵性・保存性は高いです。
貴重なお米です。
[黒米ご飯の作り方]
お米3合に対して、黒米大さじ2杯程度を入れ、よく洗って炊いてください。
お米の色を濃くしたり薄くしたりしたい場合は、黒米の量を調整してください。
量が増えても特に問題はありません。
更に美味しく味わいたいときの炊きかた
黒米を軽く水ですすぎ、周りの汚れを落としてから、まる1日吸水させてください。
吸水に使った水を白米と一緒にご飯を炊く際に使うと色がよりよくでます。
赤米ってこんな古代米です
赤米は玄米部分の赤い部分に通常の精米した白米だけでは摂取でき難い栄養素が含まれています。
ポリフェノールやビタミン、ミネラルなどを含んでいます。
古代には神事で赤飯を炊く際に、この「赤米」を使って炊いていたそうです。
でも、近年は生産量がかなり減少しています。
田んぼの面積当たりの収穫量が少ないことや、風で稲が倒れやすいことが理由です。
[赤米ご飯の作り方]
お米1合に対して、赤米小さじ2杯程度を入れ、よく洗って炊いてください。
赤い色をもっと出したいならば、赤米の量を調整して増やしてください。
量が増えても特に問題はありません。
更に美味しく味わいたいときの炊きかた
赤米の実は固いので、白米より吸水されるのが遅くなります。
また、白米と一緒に洗うと赤米の色素が流れてしまって出来上がりの色が薄くなってしまいます。
この特性を考慮した赤米の炊き方をご紹介します。
赤米を軽く水ですすぎ、周りの汚れを落としてから、あらかじめ1日くらい吸水させてください。
吸水に使った水を白米と一緒にご飯を炊く際に使うと色がよりよくでます。
1日吸水が難しければ、熱湯に1時間つけ置いて使ってください。
多少やわらかくなります。
途中で1回かき混ぜてると更によいです。
赤米の歴史
赤米についての最も古い記録は、飛鳥京跡苑地遺構から出土した木簡で、「赤米の納品」と書かれているそうです。
藤原京や平城京の遺跡からも木簡が出土しており、そこには赤米、赤搗米、赤春米といった言葉が書かれています。
正倉院文書の書物にも地方から赤米が納められた記述があるそうです。
米は紀元前に日本に伝来したそうで、品種には白米と赤米とがありました。
厳しい気候条件に強く、排水不良の土地でも良く育つことから、低湿地や高冷地で盛んに栽培され、新田開発にも重宝されていたと考えられています。
赤米は白米低温に強い日本型と、低温に弱いインド型とがあります。
インド型は11世紀後半に日本へ伝来したそうです。
室町時代中期には、赤米が九州で多く栽培されていたそうです。